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ギョーム・ド・マショーへの贈り物

ジャン・ド・シーの聖書の画家(活動期1355〜1380頃)
ジャン2世の命でジャン・ド・シーが仏訳、注解した「ジャン・ド・シーの聖書」を装飾した画家。
「運命の治癒の画家」の様式がバランスが取れ、洗練されたフランス風なのに対して「ジャン・ド・シーの聖書の画家」の様式は力強く、活気にあふれ表現力に富んでいる。
ジャン・ド・シーの聖書の画家は運命の治癒の画家とは別の「ギョーム・ド・マショー作品集」の巻頭にも作品(右図)を残している。樹木や泉などが点在する広い背景はモティーフの大きさの関係などに矛盾があり、中景がなく前景と直接くっついている。個人的にはシャガールの作品を思い浮かべる。
前景では自然の擬人像が「思慮」「修辞学」「音楽」をマショーの紹介する。それぞれがよく考えること、巧みに表現すること、上手に作曲することの寓意。
写本の2ページ先ではマショーが「愛」から「甘美な思い」「喜び」「望み」を贈られている。背景にはマショーの作品で繰り返される小鳥、動物、泉、花、灌木などが描かれている。
作曲家マショーは聖職者で目に障害があったと伝えられていて、この作品でもそのように描かれている。
マショー作品集の写本で重要なのは、パリ国立図書館蔵 フランス語写本1586番(運命の治癒の画家)と1584番(右図)
1584番には後期の作品が含まれ、序文、マショー自身の「控え」が含まれている。

世界美術大全集10 ゴシック2 1370年代
ジャン・ド・シーの聖書の画家 ギョーム・ド・マショーへの贈り物
「ギョーム・ド・マショー作品集」より
1377年頃 写本装飾 32.0×21.0cm
フランス バリ 国立図書館